稲荷大明神祓いなりだいみやうじんのはらひ

高天原たかまがはらに神留坐かみとどまりまします皇親すめらむつ神漏岐かむろぎ神漏册かむろみの命みことを以もつて、豊葦原とよあしはらの瑞穂みづほの國くに、五穀いつくさの種津物たなつものの神靈みたま、飯成いなり五社ごしゃ大明神だいみやうじんへ鎮座しづまります、稲蒼魂命うかのみたまのみこと、大巳貴命おほなむちのみこと、太田命おほたのみこと、大宮姫命おほみやひめのみこと、保食命うけもちのみこと、五柱いつはしらの大恩神おほおんかみ、天あめより五穀いつくさの元祖みをやとして普あまねく種たねを降くだし、千代ちよ萬代よろづよまで秋あきの垂穂たれほ八握やつかに莫々しなひ、上者かみは帝みかどを奉始はじめたてまつり、顯主うつし蒼生あをひとくさを養ひたし、心こころの儘ままに潔いさぎよく、生うみの子この八十續やそつづきまで生成うみなし賜たまふと、祓はらひ申まうし奉敬うやまひたてまつれば、立春たてはるの秋風あきかぜ通氣つうき自在じざいの德いさほしは、明安あかやす正家せいかの住すみに、能風よきかぜ秋あきの神道かみみちに出いで奉まつり、光ひかり皆みな、稲里いなり五社ごしゃ大明神だいみやうじんの德いさほしなりと恐美おそれみ恐美おそれみ申まうせば、十穀とくさの種津物たなつもの、五穀成就ごこくじやうじゆ不致せずと云いふ事ことなし。
祈いのる處ところ願ねがふ處ところ守まもり幸さいはひ給比たまひ、無上うえなき靈寶みたま神道しんたう加持かじ。